事例②相続した一戸建てを売却した場合の税金

Bさんは、相続により取得した土地建物を売却することにしました。

このとき、Bさんにかかる税金は一体いくらでしょうか。

(事例①と重複する部分があります。)

長い記事です。読みづらい方は、青文字赤文字黄色いマーカー部分のみ読んでください。
それも面倒な方は、赤文字のみお読みください。

お問い合わせ

<STEP1 どんな税金がかかるのか?>


Bさんにかかる税金は、事例①におけるAさんと同じく

①所得税
②住民税
③復興特別所得税

の3種類です。いわゆる『譲渡所得税』です。


<STEP2 売却した不動産の状況>


売却した不動産は、もともと被相続人が平成14年5月に1,000万円で購入した土地の上に、平成15年4月に2,000万円(建物取得費として計上できる各種費用を含む)で被相続人が木造の建物を建築し、被相続人が自宅として居住していました。

その後、平成28年5月にBさんが相続し、平成28年9月に2,500万円にて売却しました。

売却にかかった費用は不動産会社への仲介手数料874,800円と、印紙税10,000円。

なお、Bさんはこの家に住んだことはありません。


<STEP3 譲渡所得金額を計算する>


譲渡所得税は、売却価額から取得費、譲渡費用を差し引いて課税のもととなる譲渡所得金額を算出します。


1.建物の減価償却

ここで問題となるのは、建物の取得費です。

STEP2の情報をもとにすると、3,000万円で取得・建築した不動産を2,500万円で売却しているので損失が出ている!と判断してしまいそうになりますが、『建物の減価償却』を計算しなければなりません。

建物は新築後、年数が経過すると当然新築時の価値を保つことは出来ません。時間が経てば経つほど、建物の価値は落ちていくことになります。
対照的に土地は年数が経過しても価値は変わらない、というのが税法上の考え方です(当然ですが、実際の市場流通においては土地の価格は常に変動するものです)。

まず、建物の償却費相当額の計算式は以下のようになっています。

償却費相当額 = (建物の購入・建築価額)× 0.9 ×(償却率)×(経過年数)

償却率は国税庁により、居住用建物について以下のとおり定められています。
木造:0.031
鉄筋コンクリート:0.015

経過年数は、平成15年4月に建築したものを平成28年9月に売却しましたので、13年5ヶ月経過しています。月については5捨6入で計算することになっており、計算式に当てはめる経過年数は13年となります。

以上より、

償却費相当額 = 2,000万円 × 0.9 × 償却率 0.031 × 経過年数 13年

= 7,254,000円


2.取得費の計算

1.で償却費相当額が計算できました。
次に取得費を以下の計算式により算出します。

取得費= 土地取得価格 1,000万円 + 建物取得価格 2,000万円 - 償却費相当額 7,254,000円

= 22,746,000円


3.譲渡費用

・仲介手数料 874,800円
・印紙税   10,000円
  合 計   884,800円

以上より、譲渡価額(いくらで売却したか=2,500万円)、譲渡費用(売却にかかった経費=884,800円)、取得費(土地建物の新築時購入代金から、建物の償却費相当額を引いた金額=22,746,000円)を確認することができました。


4.譲渡所得金額の計算

譲渡所得金額は、収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+譲渡費用)で計算されます。

ここまでに算出した数字を当てはめると、

譲渡所得金額 = 25,000,000円 -(22,746,000円 + 884,800円)

= 1,369,200円


これでようやく税金を計算する基になる金額が計算できました。


<STEP4 税率は?>


事例①にもあるように、譲渡所得税の税率は、対象となる不動産を所有して5年を超えているかどうかがポイントになります。

では、Bさんは相続して4ヶ月しか経過していない不動産を売却したので短期譲渡所得になるのでしょうか?

正解は×です。

相続によって取得した不動産は、被相続人が取得したときから経過年数を引き継ぎます。つまり平成15年を起点とし、約13年が経過していることになります。

このため、長期譲渡所得の税率を適用します。

・長期譲渡所得
①所得税:譲渡所得金額×15%
②住民税:譲渡所得金額×5%
③復興特別所得税:①で算出された所得税額の2.1%


<STEP5 税額の計算>


STEP4で確認した税率を基に、税額を計算します。

①所得税 = 1,369,200円 × 15% = 205,380円
②住民税 = 1,369,200円 ×  5% =  68,460円
③復興特別所得税 = 205,380円 × 2.1% = 4,313円

つまり、税額は全部で278,153円(※実際には100円未満の端数は切り捨て)となります。

上記の計算では煩わしいという場合は、
譲渡所得金額×20%(短期譲渡所得の場合は39%)
で①②の合計額を算出し、その税額に2.1%をかけて③の税額を算出すると簡単です。


<STEP6 税金はいつ、どのように支払うのか?>


事例①
と同様です。STEP6をご参照ください。


<まとめ>


税金を計算する手順としては、

(1)建物の減価償却分として償却費相当額を計算し、それを基に取得費を算出
(2)売却価額から取得費、譲渡費用を差し引いて課税のもととなる譲渡所得金額を算出
(3)譲渡所得金額に所有期間5年超なら20%、5年以下なら39%をかけて所得税と住民税の合計を算出
(4)(3)の税額に2.1%をかけて復興特別所得税を算出

となり、事例①と比較すると手間がかかるのが分かります。

土地建物を売却する際は、税法上は建物は年数と共に償却されているということにご注意ください。


                           <不動産に関するお問い合わせは下記よりお気軽にどうぞ!>

お問い合わせ

  • 画像リンク
  • 画像リンク
  • 画像リンク
  • 画像リンク